ショールームを持たない薪ストーブ屋

当社には商談室と薪ストーブのレストア用の工房はありますが、いわゆる薪ストーブショールームといった空間は設けておりません(たまに中古の薪ストーブが展示している事はありますが)。

さて「ショールームを持たない薪ストーブ屋」というものが果たして成立するのか?と疑問に思われるかもしれません。

結論を先に申し上げますと、当初想像していた以上の反響をいただいていますし、今後ますます広がっていく運営手法ではないかと感じています。
これは「お客様が薪ストーブショップに”本質的に”何を求めているのか?」を考察していくと、自然に導き出される一つの形ではないでしょうか。

一般的な薪ストーブ購入のイメージとしては、実際に目の前でいくつかの機種をご覧になり、可能であれば着火作業~操作の一連を体験して、目の前に示された選択肢(サンプル機)の中からご予算にあった一台に絞り込む・・・といった感じではないかと思います。

ショールームを構える薪ストーブショップでは、これら「体験の場」を自前で提供することで「お客様の不安や疑問を低減」し「信頼感を構築することを通じてご契約をいただく」という事業スキームで運営しています。

あるいは「集いの場」を設けることで、ある種のサロン的な空間を共有したいという思いもあると思います。私も以前はこの事業の仕組みを採用したビジネスを何十年も行っていましたので、その安心感についてはよく理解しているつもりです。


一見良い事づくめの運営スタイルですが、その仕組みを構築するためのコストの大部分は販売価格に転嫁され、結果お客様に担っていただくことになります。

これは薪ストーブに限ったことではありませんが、固定費が莫大に掛かる店舗ビジネスの廃業率の高さには驚くべきものがあります(この10年でロードサイドの街並みがどれほど変わってしまったかについては、皆さんのご承知の通りです)。

今、私が実行しているモデルは、長期的に安定して良質なサービスをお客様に提供することを第一の使命と考えており、そのためにはあえて「ショールームを持たない」ことこそが、顧客満足を最大化出来る手段であるとの結論に至りました。

実演機やサンプル機がずらりと並んだお店は確かに見応えがありますが、それだって数多ある薪ストーブバリエーションの極めて一部に過ぎません。本当は『そこに展示していない薪ストーブ』こそが「お客様にとっての唯一の一台」だったかもしれないのに・・・

あるいは販売店にとって最も利益を最大化できる『ある特定の機種』を販売される可能性についてはどうでしょうか。かくいう私だって、目先の利益に囚われ「お客様にとっての唯一の一台」ではない『利益を求めた恣意的な一台』を勧めてしまう可能性が無いとは言い切れません。

当社の掲げた「お客様にとっての最高の一台をお薦めする」というミッションにおいては、実店舗にサンプル機がある事は、かなりの確率で選択機種のミスリードの原因になったり、思考に迷いをもたらすノイズになってしまうと考えています。

それ故に『ショールームを持たない』ことに特化した事業形態にこだわってきました。

あえてサンプル機を展示しないことで

①あらゆるメーカーの薪ストーブを同等の選択肢として扱い優劣をつけない。
②特定のメーカー・機種に偏った販売を意識的に回避する。

これらは一聴すると非常識に聞こえるかもしれません。

しかし薪ストーブの現物の確認は、メーカーに赴けば「販売店をはるかに凌駕する商品バリエーションと内容」で担当者から詳細な説明を受ける事が出来ますし(見学会はすべて当社でセッティングいたします)、図面の打ち合わせに至ってはわざわざ店舗までお越しいただかなくとも、どこでもテーブル一つあれば済んでしまいます(こちらからご指定の場所までお伺い致します)。むしろ、お客さまにとって心休まる場所で打合せした方が、きっと間違いの無い判断を下せるだろうと思います。

そして、そのことにより

『店舗の維持運営を目的としてお客様にご負担を強いていたコスト』の大部分は必要なくなります。

つまり

「信頼いただけるのならば、お互いの金銭的負担が大幅に削減できます。」

ということであり

「信頼感をお金で買うのをやめました」

という私なりの宣言でもあります。

ではお金を掛けずして「お客様からの信頼感」を得る事は可能なのかどうか?

それは私の来し方と、実際にお会いしていただいた際の印象でご判断下さい。

薪ストーブカルチャーへの愛情、設置技術については同業の皆様からも認められていると自負しております。


こんな私の薪ストーブ屋に興味を持たれた方がいらしたら、是非一度ご連絡をいただけませんか?

これから何十年も続くお客様の薪ストーブライフにとって、善き伴走者でありたいと願っております。