薪ストーブメンテナンスの基礎知識

薪ストーブを購入する時に「メンテナンスの事まで考えていなかった」という方が案外多いようです。例えば「煙突掃除は1年に最低1回」は必要ですし、フロントドアや灰受けドア、サイドドア周りの「ガスケットは3~5年に一度は交換」して欲しいパーツです。他にも消耗部品がいくつかあるので購入前に知っておいて下さい。

薪ストーブは心も体もポカポカにしてくれる素晴らしい道具です!
でも安全で快適な薪ストーブライフのためには『適切なメンテナンス』が必要だということは(残念ですが)あまり認知されていないようです。
ここでは専門的な言葉はなるべく使わないように配慮しながら、薪ストーブメンテナンスについての概略をご説明させていただきたいと思います。

まず、薪ストーブのメンテナンスには大きく分けて
1・煙突掃除 
2・本体メンテナンス
の2つがあります。

1・煙突掃除について
薪の配達でお客様宅を廻らせて頂いていると、煙突掃除を何年もされていない方や今まで一度もされていない!?という方に時々お会い致します。
まず原則として
『煙突掃除は1シーズンに最低1回』
実施してください。

煙突内部に付着した煤やタールに何らかの理由で引火すると、煙突トップから激しく火柱を吹き上げながら恐ろしい勢いで燃え盛ります。
煙道に煤やタールが大量に固着する場合、主として考えられる原因は

・薪の水分量が多い。⇒水分の蒸発にエネルギーが奪われる。

・燃焼時の空気を絞り過ぎている。⇒不完全燃焼している。

・煙突の長さが短い。⇒排気がスムーズに行かない。

・断熱性能の低い(薄い)煙突を使っている⇒煙突が冷えやすい。

良く乾燥された薪を燃やし、空気の絞り過ぎにさえ気を付けていただければ、タールの付着は最低限に抑えられると思います。ただし、外観では煙突内部の状態は把握することは出来ませんので、やはり定期的な確認作業がどうしても必要になってきます。

2・本体メンテナンスについて
秋~冬シーズン、長時間にわたって高熱に晒され続ける薪ストーブは、ある意味で自動車のエンジンよりも過酷な環境に置かれていると言えます。
車の場合は車検という制度がある為、半ば強制的にコンディション維持の機会を与えられる一方、薪ストーブは完全に自己責任のみでコンディションを維持していかなければなりません。
「鉄は強いので一生モン」という固定観念が、必要最低限のメンテナンスの機会を逃しているように見受けられます。まず

・鉄はサビに弱い。

・鉄(特に鋳鉄)は急激な熱の変化に弱い。

・薪ストーブの構成パーツには消耗部品が多く使われている。

以上を踏まえた適切なメンテナンスを行うよう心掛けて下さい。

例えばシーズン終了直後には必ず「サビ落とし&サビ止め処理」を行って下さい。
寿命が飛躍的に向上すること間違いなしです。

また、鋳鉄(ちゅうてつ・いもの)は製造過程でどうしても内部にス(気泡のようなもの)が入り易く、急激な熱変化で鉄が膨張・収縮することで亀裂が入り易くなります。
着火からの温度上昇は出来るだけ穏やかに行い、鉄本体へのダメージを最小限に留めていただくことが望ましいでしょう。

他には代表的なものにガスケットロープ(パッキン)交換があります。
ストーブ内の気密性を高め、燃焼のための空気が必要以上に取り込まれないようにドア等の周りに充填されています。
これが使っていくうちに柔軟性を失って硬化すると、隙間から空気が入るようになり過剰燃焼の危険が生じます。
パッキン交換の目安は一般的に3年~5年と言われます。車のオイル交換同様に「まだ使える」段階で定期的に交換してやることをお勧めします。

輸入物の高性能な薪ストーブの中には「触媒(しょくばい)」を用いたものがあります。
未燃焼の成分の残った排気がこの触媒を通リ抜ける際に、化学反応により再燃焼することで、クリーンな排気を実現するとともに熱効率も飛躍的に改善させるというパーツです。
触媒を用いた排気技術自体はとても画期的なものですが、目詰まりしたり欠けたりしやすいという弱点があり、平均5年程度で交換が必要なパーツです。ボロボロになってもいつまでも使っている人がたまにいらっしゃいますが、排気も汚くなり部屋に煙が逆流してくる等「百害あって一利無し」です。
交換には費用がそれなりに掛かります(約3万円程度)が、燃費が改善する分すぐに元がとれます。
怪しいと思ったらすぐに交換しましょう。

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